File.3 > キレイで安全な水を追求した「中水利用システム」が完成するまで
排水を処理してキレイな水にして放流する浄化槽。その技術を応用し、更に水をキレイにして再利用できないか?世界的に「環境にやさしい商品」が求められる中、開発がスタートしました。
Story.1「キレイで安全な水」を追求
排水を浄化する技術は、合併処理浄化槽などの水処理製品開発によりノウハウが有りました。
そのことで、開発にはある程度の勝算はありましたが、すぐに問題にぶち当たります。
浄化水の「色」と「臭い」。トイレや洗面の排水を浄化して、トイレの洗浄水として再利用する中水利用システム。
再利用する場所はトイレの洗浄水といえ、快適に使うためには水道水と同レベルの「キレイで安全な水」が要求されます。
「再利用しているのだから、ある程度のキレイさで我慢を」は許されないのです。
Story.2透明な水を目指す
目指すものは透明な水。
しかし、難しい浄化水の脱色。浄化循環するとフミン化し、難分解な着色成分が蓄積する傾向があり、全く透明度が上がらず濁ったまま。
透明な水にするには、より高い脱色性能が求められました。数ヶ月間あらゆる手法を試し、たどりついた結論はオゾン。
脱臭、脱色の問題が解決し、ランニングコスト的にも有利と思われるため、オゾンを使ったシステムとして設計にとりかかりました。
Story.3オゾンを水に溶けこませる
オゾンは高い酸化力のおかげで、脱色、脱臭ともに高い性能を期待できました。
しかしここでも問題が。オゾンはその特性上、水に溶けにくいのです。排水をキレイにするには、オゾンを排水に溶けこませる必要があります。
考えられる手法を可能な限りトライし、結果を見ながら修正を加えていく試行錯誤の繰り返し。少しずつ最適化をしていきたどり着いたのが、専用の撹拌(かくはん)システムを用いた現在の「中水利用システム」です。
Story.4馴染みがないものを売る
まず「中水」というものが、社会的に全く馴染みがないもの。必ず「中水とは何か?」から説明はスタートします。
導入に際してのメリット、デメリット。
他の手法ではなく中水利用システムを選ぶ価値は何か?
具体的な環境性能は?
ランニングコストは?
施工方法は?
など、多くの疑問に答え、理解していただくことで話が進みます。
製品についての基本から、設計~施工に至るまで幅広い知識も必要になります。
打ち合わせを繰り返して受注につなげていくのが大変ではありますが、物件の引き渡しまで終われば大きな経験となります。
Story.5予想外のトラブルに対応しながら進化
中水利用システムを店舗などで使っていると、突然水質が悪化するトラブルが起きました。システムは正常に動いているのに水質が悪化してしまう。
その原因は「従業員のみ使う予定だったトイレを一般客にも開放した」「店舗厨房での調理はしない予定が、揚げ物などの調理をすることになった」など、お客さまの使い方の変化により排水が増えたのが原因でした。
しかしそれに合わせて処理槽の規模を大きくしたり、処理槽を追加すると大規模な工事が必要となります。
そこで新たに「活性炭濾過槽」を開発。既存の設備に簡単に追加ができ、費用の面でも抑えることができました。
お客さんも使い方が変化していくもの。そういう時にも柔軟に対応できるシステムづくりが重要になります。
中水利用システムは、コンビニエンスストアなどの店舗、工場などで導入され、活躍中です。弊社太宰府工場にも導入され、より良いシステムにするために改良が続けられています。